ちょうよまちよと育てられ

開成町、中井町、愛川町など、神奈川県にある町は「まち」と読むのが正式だということを、極めて最近知った。

ご当地キャライベントで「まち」な地域のキャラクターと接したり、FMヨコハマを熱心に聴くようになって、県内各地の地名が耳に入る機会が多くなったのがきっかけ、であるが。それにしても。神奈川に住んでいる期間が、生まれ故郷を過ごした期間をこえ、更に5年も経過した今このタイミングで、である。随分と長いこと知らなかったなぁ。まぁ意識する機会がなかったってのもあるけどさぁ‥としみじみする前に。

では「まち」でなく何だと思っていたかというと、「ちょう」だ。

こうやって気にする前から、「○○まち」という読み方を耳にする機会はあった。けれども、そう読むのは城下町とか港町みたいな愛称的なことで、行政上の正式な読み方は「○○ちょう」なんだ、と思い込んでいた。なぜなら、私の生まれ故郷で、神奈川の隣の静岡県は、町のほとんど(※)が「ちょう」と読むからだ。
(※)静岡県周智郡森町が県内で唯一「もりまち」と読むそうだが、この件ではじめて知った

個人的なエピソードに関連するところでも、生まれた病院の住所が駿東郡清水町(しみずちょう)、保育園時代に仲の良かった友達が引っ越していった先が榛原郡本川根町(ほんかわねちょう:いまは川根本町だけどそれでも「ちょう」)と、どこも「ちょう」。特に町が多い伊豆地方なんかも、もれなく「ちょう」なのである。

小学校で学ぶ地域の市区町村の読み方なんかも、必然的に「ちょう」で教わっていたはずだ。もしかしたら「地域によってはまちと読む」という指導があったかもしれないけれども、静岡県東部のこの状況で、その指導を軽く流して忘れてしまうのは、致し方ないことであろう。

余談1:当時の社会の授業では、町がどうこうより、郡の名前を覚えるのが難しかったように記憶している。日常的に町や村の名前は読んでも、郡は手紙を出すときぐらいしか書かないし。漢字も難しかったし(笑)。

余談2:箱根、真鶴、湯河原なんかは神奈川だけどすぐ近くなので、これらは「まち」読みだ、なんて話もあったのかもしれないなぁ‥ただ地元的には「(町を付けないで)マナヅルって呼ぶよね」とか、先生とそんな話をしたような気がする(笑)。

そんな生い立ちのもと、町=ちょうと信じて疑わない、というか疑う意識のなかった私は、厚木の短大へ通うのに、御殿場線の御殿場←→松田間を毎日利用していた。いま思えば、駿河小山−谷峨を境に「ちょう」と「まち」が切り替わる、そう富士川で50Hzから60Hzに切り替わるが如く!‥って交流周波数で例える必要があるかはともかく、そんな箇所を行き来していたのだ。が、当時の私は、駿東郡小山町が「おやまちょう」なんだから、山北町は「やまきたちょう」、松田町は「まつだちょう」だと思ってたし、そう読みまくっていた。周りも皆そうだった。みんな静岡の人だからね。だが神奈川に入ったら、ちょうではなく「まち」なのだ。これからは御殿場線に乗ったら、妙に意識してしまいそう。というほど乗る機会は、今はないのだが。

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さて、読み方に違いがあると知ると、「じゃ都道府県や地域で差があるの?」「ちょうが超多いの?」「だからどっちがまちなんだッ」といった疑問をもつのはもはや、遺伝子レベルの本能的なこと(大袈裟)のようで、多くの方が調査し結果を公開している。「町 まち ちょう」程度のキーワード検索で多くの有用な情報が得られるので、興味をもった方はそんな感じで調べてみてもらいたい。

と、サーチエンジン投げっぱなし締めしてしまうと、後年検索結果がガラッと変わってしまっているかもしれないので、今回調べて知ったことの一部を書いておく。
・「ちょう」か「まち」かの国内での分布は、東日本は「まち」、西日本は「ちょう」な傾向
・「ちょう」と読むか、「まち」と読むか、は各自治体に任されているようで、どちらかでないといけないとか、一定の基準のもと決められるとか、そういうものはないらしい

町を「ちょう」と読む地域と「まち」と読む地域がある。またひとつ、新たなことを学んだ。とはいえ、自分の身近な地域での常識が世間の常識だ、と思い込んでいたのはまさに、井の中の蛙。広く大海に視野をもって、町をまちとも読み‥ちなみに、伊豆の踊子などで有名な賀茂郡河津町は「かわづちょう」なのよね。

という、相撲の決まり手じゃないけどカワヅガケなオチを先に思いついて書き出したものの、予想外に子供の頃の思い出話に花が咲いてしまい、個人的には微妙な記事に(苦笑:そもそもオチもね)。「ちょう」といえば、宇宙刑事ギャバンがジャンプなどをするときのかけ声が、「ちょう」ではなく「ちゅう」(宇宙のチュウらしい)だったことのほうが衝撃なんだけど、それは聞こえ方だから仕方ないか。でもショック(笑)。

そうそう、私が町を「ちょう」と読んでいたように、神奈川出身の人は「まち」と読むのが当たり前なのかなぁ?神奈川あたりだと、私のような他県出身者が多そうで、調査は難航しそうだが‥いや他県出身者が多くても難航はしないか。まぁ出身がどこであれ、町な地域と接点がある人生か?のほうが、意識するしないに関わってきそうだけどね。