劇団五期会公演「兄帰る」観劇の感想など

12/10(日)、劇団五期会の第52回公演「兄帰る」を観てきました。前回五期会の公演を見たのは第46回「パパのデモクラシー」以来ですから、およそ3年ぶりです。前の公演の時は宇仁菅真さんへのインタビューという目的がありましたが、今回は劇団五期会ホームページ開設お祝いと勝手に決めて行きました。「パパデモ」の時、非常におもしろかったので「度々観に行きたい」とその時は思ったのですが、私が忙しかったり大阪への旅費もなかなか工面できず‥でついに3年も開いてしまいました。なお、今回は最終公演を観ました。


「兄帰る」は(劇団のページに概要がありますのでそちらを参照していただいた方がキチンとわかると思いますが)、多額の借金を残して行方不明になった中村家の長男・幸介が、弟夫婦の家にホームレス姿で帰ってくるところからはじまり、幸介の社会復帰をめぐって姉夫婦、弟夫婦、叔父、叔母などがそれぞれの思惑の違いから右往左往する、ホームドラマ風演劇です。←がんばって自分の言葉にしようとしたが結局公演チラシの請売り(苦笑)

こう書くと長男・幸介が主人公のようですが、実際は弟嫁・真弓(八田麻住)が主人公でした。何かと相手の思惑を探り、結果嘘で塗り固められていく中村家のやり方に真っ向から対抗し、自分の考えに正直に生きようとする真弓。しかしその性格が故、友人・金井塚(小川悦子・林和子、私が見た時は小川さん)との友情に溝ができたり‥と、主に真弓の苦悩を中心に話はすすみ、ラストもそこに問いかけがあったんだと思います。要するにあまりハッピーエンド!という訳ではなかったのですが(ネタバレ?)、私はわりとこういうスッキリしない結末好き好きなので、最後まで非常に楽しく観ることができました。

ここまでの記述でわかっていただける通り、私は演劇について今だまったくの素人であるため、感想もヌルヌルです。申し訳ありません。と先に謝ったところで今回の公演で特筆したい点、それはもう長男・幸介演じる尾崎麿基さんの演技です。もうさすがという言葉しか出てきません。もともと借金を残して行方をくらましてしまうような人間で、どうもうさん臭い人物なんですが、そのうさん臭い様が素晴らしい!こう書くと誉めているのかそうでないのかわかりませんが、誉めてます(笑)。途中からそのあまりのうさん臭さ、そしてそれを的確に演じる尾崎さんに笑いが止まらず、最後には拍手喝采してました。もちろん他の出演者である八田さん、井之上さん、一木さん、宇仁菅さん、上村さん、森畑さん、小川さんも好演されていました。が、今回尾崎さんの演技が際だって素晴らしかったためついこういう感想になってしまいます。

あともう一つ思ったのは、今回なんかテレビドラマを見ているようだったなぁということですか。前回見た「パパデモ」は時代モノで、その時代の知識に乏しい私(他の知識もないけど>私)にとってピンとこない部分が結構あったのですが、今回はもろ現代劇、しかもホームドラマということで、劇全般にのめり込むことができました。だからなのか?今回のセットがたまたまそういう風に見せたのか?なんだかテレビを見ているような感覚がありました。それが良いのか悪いのかはわかりませんが、テレビ世代の私には非常に観やすかったです。


公演後、幸いにも何人かの劇団員の方とお話しすることができました。といっても相変わらず人見知りの激しい私、うまく会話も弾まず失礼なことをしてしまったと反省しております。そんな私は更に幸いなことに、その席で関西人の「普段の会話が漫才」を体感しました(笑)。会話のフリには必ずオチをつけて返すし、免疫のない私はもう聞いているだけで満腹でした。

一番お話しできたのは劇団ホームページの管理人にして、今回の公演で叔父役を演じられた上村さんでした。お忙しい中、基本的にお一人で劇団ページをきりもりされている、しかも(失礼ながら)結構なお歳‥さぞ大変だろうと思いました。きっと大変なのに間違いはないのでしょうが、ビックリしたのは上村さんのマニアっぷり(笑)。まさかTRONとかAthlonという単語が五期会メンバーから出てくるとは思っていませんでした。サイトの運営ポリシーも的をえていたし、もうお話しを聞いていてうなずきっぱなしでした。五期会ページの未来は安泰です。


前回は主に宇仁菅さんお一人と面会させていただきましたが、今回更に他の劇団員の方々とお話しさせていただく機会を得、その時非常にアットホームで、且つ団結した感を受けました。おぼろげながら演劇というものにハマっていく気持ちがわかったような気がします。今回の公演も非常におもしろかったですし、また次の機会に観にいきたいです。