カナ入力者がカナ入力をやめない理由

というとカナ入力している人全員の意見のようだけどそうではなくて、今もって(もちろんこの文章も)カナ入力を続けている私自身のことです。最近カナ入力について意識せざるをえないことがあって、つらつらと書いてみました。

1.カナ入力をはじめたきっかけ
私の人生においてキーボードのタイプをしはじめるきっかけになったもの、それはマイコンBASICマガジン(ベーマガ)である。PC-8001とかFM-7とかが主流の、パソコンというものが次第に家庭に入ってくるようになってきた時代。ベーマガに掲載されていた機種別のBASICプログラムリストを入力するのが、キーボードをタイプする目的であった。
ベーマガに掲載されているプログラムリストには、カナ文字を多く含むものが多かった。当時のパソコン+BASICの入力には「かな漢字変換」といったような仕組みはなく、カナを入力したかったらキーボードに印刷されたカナ文字のとおりタイプしなければならなかった(そもそも漢字の表示にはなんらかの拡張が必要だった)。パソコン初心者にとって、アルファベットの配列すら頭に入っていないところへカナの配列も覚える、というのは非常にハードルが高いものであるが、そこは若さ故、というかベーマガ掲載のゲームがやりたい一心で(笑)、気合いで覚えた。
当時、同じようにパソコンを趣味としていた友人達も、カナの入力についてはおぼつかない手つきだったことをよく覚えている。カナの配列を覚えることより、アルファベットをエレガントにブラインドタッチできることに価値を見出し、そういう練習をしていた。その点について、私も同意見ではあったのだが、「でもカナの入力もエレガントにできたらもっといいよね」と欲張った結果、どっちもほどほどという中途半端なことになってしまった。

2.カナ入力不要の時代到来
一太郎のようなワープロソフトやワープロ専用機などを使うようになって、文字の入力は「かな漢字変換」システムを利用するようになる。ここでは「ローマ字入力」という、アルファベットさえ入力できればカナどころか漢字まで入力文字として扱えるすごい機能が登場。この時点で多くの人がカナ入力の呪縛から解放された。
んだろうけど私はカナ入力にこだわり続ける。練習の結果、ほどほどとはいえそこそこのスピードでカナ入力できるようになってしまった者にとって、ローマ字入力はかなりわずらわしい。例えば「か」と入力するのに「K」と「A」の2キーをタイプしなければならないなんて、「手が疲れるじゃん」(突如横浜弁)なのだ。これはカナ入力者がよく口にするカナ入力最大のメリットであるが、せっかく覚えたからやめたくないという単なる意地っ張りがホントのところであろう(笑)。
ただ、カナ入力者はいつでもカナ入力をやめられる心構えを持っている。カナ入力できる人はアルファベットも当然入力できるから(※)、もし「カナ入力」という仕組みがこの世からなくなっても、すぐローマ字入力に移行できるのである。そんな気持ちの上での余裕、天狗感がカナ入力者にはある。
(※) 以前はまずアルファベットの入力ありきだったのだが、最近はカナ文字しか入力しなくてもパソコンが使えてしまうので、アルファベット配列をよく知らない、という人もごく稀にだが存在する。

3.やめられない(やめなくていい)時代が続く
正直なところ、「ローマ字入力」というものが出てきた頃には「カナ入力は近い将来なくなるだろう」と予想していた。いつでもその日を迎える覚悟はできていた、んだけど、2010年3月の現在においても、カナ入力はやめずに済んでいる。まぁ無理に削ることもないんだろうけど、もうこうなると一生カナ入力を続けられるんだろう、という気持ちになってしまう。
ところで、これまでの人生の中で一時期だけ、カナ入力できない時代があった。Unix上のWnnでかな漢字変換をしていた頃。このときはカナ入力を構築できない環境だったため、わずらわしい思いをしながらローマ字入力をしていた。それでもやれてたのは、本当にその環境しかなかったことと、若さかなぁ(まだ20代)。

4.いよいよカナ入力者受難の時代
現代において、カナ入力者は非情なる危機に直面している。ってほど大袈裟なことじゃないし、そこに情けがない訳でもないけど。昨今のスマートフォンブームにおけるQWERTYキーボードがそれ。W-ZERO3のキーボードでかな入力できないと知った時は、いよいよ年貢の納め時かと思った。実は、W-ZERO3を入手したものの多用しなかったのは、ここに大きな要因があったりする。もはやカナ入力がないと文字を打つ気になっていないのだ。いかん、「ローマ字入力いつでも来い」といえない年齢になっている! 誰か助けてェ〜!

iPhoneのようなソフトウェアキーボードであれば、JIS配列のカナキーを出せるだろう、とは思うけど、きっと需要がないから作らないよね。作ってほしいなぁ。だとしても、iPhoneのQWERTYキーって小さくて打つ気にならない。これも年齢起因、配列以前の問題か!!