「歌いましょう」

毎週月曜PM3:30からやっている「やさしい日本語」は、主に在日外国人向けの日本語講座である。私はまだまだNHK教育は見はじめたばかりだし、主に午前中の学校放送ばかり見ているのでこういった講座モノはまったくの初心者である。だから「何をいまさら」的なことなのかもしれないが、おもしろいので報告しちゃう(笑)。


この番組はヒゲ面の先生(中道 真木男)とアシスタント(稲村なおこ)、受講生とも言うべき外国人2名(毎回違うみたい)といった出演者で構成されている。この4名がメインで、先生が講義を行いアシスタントがフォロー、時折外人さんが質問したりといった感じですすめられる。講義を進める上でショートコントみたいなVTRが使われたり、「あいうえお」で話と話の間に入るような説明のみのミニコーナーが入ったりする。


メインの「講義」だが、先生が一方的に講義するという訳ではない。洋風応接間のようなセット(ソファーにローテーブル)で外国人2名が片言の日本語で何かしようと話し合っていて、その時の日本語について「日本ではこういう風に話す」とか「日本ではこういう風に表現する」といった解説をする、といった具合である。だからそこにはミニストーリーが存在する訳である。

例えば9/8(テーマは「否定意見を言う」)の場合。外人さん2名と稲村さんは今度遠足にいこうと計画している。で、英国人男性(名前忘れた)は「海で釣りしましょう」と提案。しかしタイ人女性(これまた名前忘れた)は「釣りイヤです、魚ダメです」と反論。ここで先生は「どうやら皆で釣りに行くのは難しいようですね」と現状を客観視したところで、「否定意見を言う時は、あまりハッキリ言うのではなく多少やわらげた表現で言うのが好ましい」と解説。例えば「釣りもいいですけど、山で栗拾いもいいですよね」という風に言うと。で、反論する相手との身分の差などで言い方を変える、と解説が続く。


さてこの番組のラッフィングポイント(訳すと笑点か)はこの4名のやりとりの中に多く存在する。上記の通り、講義はミニストーリー上に展開するのだが、その会話は台本が元になっている。テレビ番組なんだからそんなの当たり前だろ〜と言われそうだが、何故あらためてそんなことに注目するかというと、テーブルに置かれてる台本をめくりながら日常会話を展開させているのである(笑)。まったく講義的に内容だけなら、目の前の台本をめくりつつ進行してもそんなに違和感ないのだが、会話が日常的なだけに台本が目の前にあるのがとっても妙。


この他にも、アシスタントの稲村さんは妙にリアクションが大きいとか、稲村さんの眉毛は結構太いとか(なんだ稲村さんばっかりじゃん)面白いところは多々あるんだが、それが極限に達するのは最後の「歌いましょう」のコーナーである。

最後のコーナーに至るまでに、片言の日本語や素っ頓狂な質問に対する稲村さんの大きいリアクションなどによって、洋風応接間はかなり「浮いた」空間になっている。ここで「歌いましょう」(日本のメジャーな歌謡曲を紹介)に突入するのだが、これはアシスタントの稲村さんがおもむろに立ち上がり、例えば「いい日旅立ち」なんかを歌いあげる(歌はかなりうまい)コーナーである。

これがもう浮きまくっているのである(笑)。さっきまで「遠足行こう」なんて呑気に語り合っていた空間で、さながら歌謡ショーのごとく曲に入り込む稲村さん。既にそれだけでも見ている方は恥ずかしいんだが、横で座っている中道先生が小声で歌っちゃってるのである。で、外人さん達はどうしてるかというと、手拍子もせず硬直している(外人さん達にとっては知らない曲だからこれはやむをえないだろうが)‥。

何故あえてあの場所で歌わせるんだろう。歌を紹介するだけならあらためて別のセットにしたってよかろうに。なんかカラオケボックスで歌っている人以外は曲探しに入り込んでる(でも一人ぐらいは一緒に歌ってる人もいる)様子を映し出しているようだ‥ん!?もしかしてこのコーナーはそんな日本文化「カラオケ」を風刺したコーナーなのか?日本ではこういう狭い空間で歌を歌い、歌っている人以外はそっぽむいてるよということをひそかに表現しているのか?う〜ん、そうだとしたら実に深い。笑っちゃ失礼だな。多分そうじゃないだろうけど(笑)。


つたない解説なので、きっとこの番組のおもしろさは充分つたえられていないのではと思う。是非一度、あなたの目でたしかめて欲しい。毎週月曜PM3:30から30分、ちなみに9/15はお休みらしく、9/19(金)PM3:40からの放送とのこと。