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LOCOMOTIVE IS COMING
1998/12/07(月) 13:07 What's Fool? | ひとりごと
私の居住する町の最寄駅前商店街のひとつがリニューアル(道路をきれいにした)し、その記念イベントが12/6(日)に開催される、という告知チラシが12/3の新聞に折り込まれた。その商店街及び駅前で数々のイベントが催されるようだが、その中でもメインはこれのようだ。
むむうッ!この写真の機関車は、イギリス生まれでトップハムハット卿とか出てきて戸田恵子が声あててたりするあの「きかんしゃトー」‥なんてことは一言も書いてないぞ。彼は他の何者でもない、「機関車くん」だ!
この地方イベントならではのパクリスピリットは実際にこの目で確認せにゃならんと、並々ならぬ使命感に燃え私は開催当日の12/6、現地へと赴いた。
その商店街はいつも休日は歩行者天国で、12/6もそうである。商店街の駅寄の入口と、交差点付近の2箇所に「機関車くん」の駅(乗り場)を設置、片道ずつの乗車ということになっていた。私は駅から遠い交差点付近の乗り場方面から商店街に突入したのだが、ちょっと乗り場が閑散としてる‥機関車くん、やっぱバレてる!?関東だから本物指向の人が多いのかな、などと心配しながらもうひとつの乗り場方面へと進む。するとまもなく停車中の「機関車くん」が私の目に飛び込んできた。
「似ていねえ!!」‥いやまて、誰に似ていないというんだ。彼ははじめて見るニッコリにこやか「機関車くん」ではないか。イギリスでハット卿で戸田恵子な某機関車ではないんだ。しかしチラシの顔とも全然‥いやいや、きっと同僚とかなんだろう。来る筈だった機関車くんが一身上の都合でこられなくなったという事も充分考えられる。キチンと代役として来ている彼に感謝だ。
そんな「機関車くん」に、いい歳のおっさんが一人で乗る勇気はないので近寄ってみる。「機関車くん」はどうやら電動で走る「電車」で、タイヤで路面を走るタイプのようだ。特別な線路などがひかれていた訳ではない。乗車距離は100メートルそこそこで、速度は大人が軽く走る程度のものだった。
で、よく耳をすまして聴いてみると、イギリスでハット卿で戸田恵子な某機関車のテーマソング風の音楽が鳴っている!決して同じではないそのメロディに笑いが堪えきれず、怪しい笑顔となっている私にとどめの一撃。
「それでは出発しま〜す。ポッポー」←この「ポッポー」がまたクリソツ!は〜ん、もうダメだ!
しばしその場を退き、笑いがおさまるのを待つ。ちょうど「機関車くん」も出発して姿が見えなくなったので気分も落ち着いた。
こちらの乗り場は大盛況で、親子づれの長蛇の列ができていた。単にこちらが駅寄りで、もう一方が駅から離れているので人の集まりが悪かっただけのようだ。本物指向などというのはいらぬ心配であった。
そこでしばらく「機関車くん」が戻ってくるのを待つうち、乗車待ちの親子の会話が耳に飛び込んできた。
「ほ〜ら○○ちゃん、トーマスだよ〜」
「もうすぐトーマスに乗れるよ〜」
「トーマスだ、うれしいね〜」
これらは全て、子をなだめる親御さん達の発言だ。中には先のチラシを握り締め、機関車くんの到着を待ちわびるお母さんの姿もあった。しかしあれだ、「機関車くん」は「機関車くん」なんであって、イギリスでハット卿で森本レオな某機関車ではないんだよ‥と伝えようとしたのだが、それはやめにした。
「機関車くん」をトーマスと真剣に勘違いしている親御さんもいただろうが、中にはわかっていながら「機関車くん」のことをトーマスとしていた親御さんもいたかもしれない。彼ら親子にとって、「機関車くん」はトーマスでも何でもいいのだ。実際、「機関車くん」に乗る親子のはちきれんばかりの笑顔には、他者がくだらんこだわりでチャチャを入れることをはばかられて当然のものであった。
普段、通勤ラッシュなどで鬼気とした表情しか見えなかった市民の顔が、一瞬ながら笑顔に満ちあふれていた。ありがとう「機関車くん」。君のおかげで我が町は救われそうだ。商店街も千客万来。縁があったらまた来てね。